2008年05月25日
悲しみも 涙も怒りも 尽き果てて
悲しみも 涙も怒りも 尽き果てて
この侘びしさを 持ちて死なまし
みんなみの 露に消え逝く 生命もて
朝粥すする 心悲しき
朝粥を すすりつ思ふ 故郷の
母よ嘆くな 父よ赦せよ
友の逝く 読経の声を ききながら
己が逝く日を 指折りて待つ
おののきも 悲しみもなし 絞首台
母の笑顔を 抱きて逝かむ
明日の日に 如何なる郷に 行くならむ
極楽とよび 地獄と言ふも
夜は更けぬ しんしんとして 降る雨に
佛の御召しを かしこみて聴く
つくづくと 幾起き臥しの いや果ての
此の身悲しき 夜半に目覚めぬ
風も凪ぎ 雨もやみたり 爽やかに
朝日を浴びて 明日は出なむ
故 陸軍上等兵 木村久夫 昭和21年5月23日チャンギー刑場の露と消ゆ
昭和22年1月、小生の親父が南方より復員の際、復員船「朝嵐丸」に
乗り合わせた方がシンガポール・チャンギー刑務所で処刑された戦犯の方達が
獄中の壁に残された和歌、俳句、漢詩等を一冊のノート書き写されて所持されて
いたものを転写したものです。
この侘びしさを 持ちて死なまし
みんなみの 露に消え逝く 生命もて
朝粥すする 心悲しき
朝粥を すすりつ思ふ 故郷の
母よ嘆くな 父よ赦せよ
友の逝く 読経の声を ききながら
己が逝く日を 指折りて待つ
おののきも 悲しみもなし 絞首台
母の笑顔を 抱きて逝かむ
明日の日に 如何なる郷に 行くならむ
極楽とよび 地獄と言ふも
夜は更けぬ しんしんとして 降る雨に
佛の御召しを かしこみて聴く
つくづくと 幾起き臥しの いや果ての
此の身悲しき 夜半に目覚めぬ
風も凪ぎ 雨もやみたり 爽やかに
朝日を浴びて 明日は出なむ
故 陸軍上等兵 木村久夫 昭和21年5月23日チャンギー刑場の露と消ゆ
昭和22年1月、小生の親父が南方より復員の際、復員船「朝嵐丸」に
乗り合わせた方がシンガポール・チャンギー刑務所で処刑された戦犯の方達が
獄中の壁に残された和歌、俳句、漢詩等を一冊のノート書き写されて所持されて
いたものを転写したものです。
Posted by gonngoetsu at 06:38│Comments(2)
│戦犯処刑者の辞世句
この記事へのコメント
つらいです。
戦犯の中には、ささいな罪で処刑された方々も多いそうですね。
逆に様々な理由で、刑を免れた人もいたようです。
とにかく、戦争など世界中から無くなってほしいです。
戦犯の中には、ささいな罪で処刑された方々も多いそうですね。
逆に様々な理由で、刑を免れた人もいたようです。
とにかく、戦争など世界中から無くなってほしいです。
Posted by 隣のcat
at 2008年05月25日 21:29

>戦犯の中には、ささいな罪で処刑された方々も多いそうですね。
捕虜収容所で捕虜の監視任務に就いていた兵隊さん達に
B・C級戦犯は多かったそうです。任務上、捕虜を監視し
取り締まる立場にあったので、立場が逆転するとどうしても
不利な状況に置かれたみたいです。
現地の住民を殴ったという理由で絞首刑ですから。それも首実検で
犯人探しをするわけですから、人違いで連行され絞首台に吊るされた
兵隊さんもいたそうです。
捕虜収容所で捕虜の監視任務に就いていた兵隊さん達に
B・C級戦犯は多かったそうです。任務上、捕虜を監視し
取り締まる立場にあったので、立場が逆転するとどうしても
不利な状況に置かれたみたいです。
現地の住民を殴ったという理由で絞首刑ですから。それも首実検で
犯人探しをするわけですから、人違いで連行され絞首台に吊るされた
兵隊さんもいたそうです。
Posted by gonngoetsu at 2008年05月28日 19:50